ウィッグの歴史と現在のウィッグの価格
古くは古代エジプトでもウィッグが利用されていた
ウィッグ(かつら)は頭部に身に付けて別の髪型に見せたり、頭髪を付け足したりするために利用するものです。古くは古代エジプトなどでも利用されていた記録があります。有名なスフィンクスの髪型や壁画などに残る一見おかっぱのように見える髪形はウィッグによって作られた人工的な髪型なのです。あの髪型が古代エジプトの貴人の間では正装とされていたそうです。
日本でも遅くとも室町時代にはかつらが利用されていた
また、高校で学習したであろう芥川龍之介の「羅生門」の中では羅生門の上で死体から髪の毛を抜く老婆の姿が描かれています。この老婆がしようとしていたのは、その髪の毛を使ってかつらを作ることです。羅生門の時代背景は平安時代です。芥川龍之介の時代描写が正しいとすれば、既にこの時代にかつらが作られていたことになります。
室町時代には髪型を変化させるためにかつらが利用されたという資料が残っているため、少なく見積もっても日本のかつらは400年以上の歴史があります。しかし、どちらのものも人毛を利用していたため、作るのには多くの費用が必要でした。
20世紀に入り、人毛を利用しなくても生産可能に
人工毛の開発により、より多くのウィッグを作ることができるように現在のかつらは人工毛のものと人毛のものがあります。またその両方を使ったものもあります。現在の技術で人毛に限りなく近い人工毛を作ることも可能です。しかし、仕上がりの自然さや耐久性などを考えると人毛の方がかつらの材料として好まれています。
人毛を使用するためにはその材料を仕入れなければなりません。人の毛は一ヶ月でおおよそ1センチ伸びます。エクステンションなどの付け毛ではなく、完全に頭髪を再現することを考えると、ひとつのかつらを作るのに非常に長い期間伸ばした頭髪が必要になります。そのため生産コストは高く、日本でも近年までかつらの価格は非常に高いものでした。その価格はかつて高級車一台分などと言われていました。
企業規模やその展開方法などによってウィッグの価格は大きく異なる
現在ではコストの低下や技術的な進歩などから価格は比較的抑えられていますが、販売する業者などによっては月給を超える価格のこともあります。必要不可欠なものではないため、市場が極端に大きいわけではなく、その価格には限界があるというのが現状のようです。特別な用途のかつら、例えば時代劇などに利用するかつらは一日レンタルするだけで数万円かかることもあります。
大規模に宣伝をして多くの社員を抱える企業の場合、付加的な経費が多くかかっている分、その価格は高くなります。しかし、規模の小さな企業でもその性能が劣らないところも多くあります。大切なのは実際そのウィッグを手に取りその品質を確認することです。ウィッグを購入する際には価格と品質を確認したうえで購入するのが良いでしょう。